妊婦の医療機関選びがしやすくなるよう、出産の費用やサービス等を見える化する検討が進められています。
来年4月からウェブサイトでの公表スタートを念頭に、9月7日の厚生労働省の専門部会にて、公表される項目の案が次のように報告されました。
対象医療機関等
出産費用の直接支払制度を利用している医療機関・助産所(約2,300施設)
(※)年間分娩件数が20以下の医療機関・助産所に関しては掲載は任意
公表事項
- 分娩施設の概要
施設種別、年間の取扱分娩件数、実施される検査(新生児聴覚検査等)等 - 助産ケア
助産師外来・院内助産の実施の有無、産後ケア事業の実施の有無 - 付帯サービス
立ち会い出産実施の有無、無痛分娩実施の有無等 - 分娩に要する費用等の公表方法
分娩に要する費用・室料差額・無痛分娩に要する費用 - 直接支払制度の請求書データからの費用等
平均入院日数、出産費用の平均額等、室料差額の平均額等、妊婦合計負担額の平均額等
公表方法
- 厚生労働省が新設する「見える化」のためのウェブサイトにおいて、医療機関・助産所ごとの情報を公表
- 別途、医療機関ごとに妊婦にとって有益と考えられる補足的な情報等について、医療機関のホームページにおいて公表(任意)
上記案の策定に先立ち、出産費用の価格改定についてアンケート調査が実施され、その結果も同部会にて報告されています。今年4月に出産育児一時金が42万円から50万円に引き上げられた一方で、多くの分娩取扱施設で出産費用の価格改定が行われていることから、そこに関連性はあるのかどうかを考察するために実施された調査になります。
これによると、令和4年4月から令和5年4月の期間に価格改定を行い増額した分娩取扱施設の割合は全体の44.5%で、出産育児一時金の増額が決まった今年1月以降に出産費用の増額改定をした施設は全体の15.5%となりました。
増額改定した施設にその理由を問うと、最も多い回答は「水道光熱費や消耗品費等の高騰のため」、次いで「医療機器等の高騰のため」「医療者等の確保が難しく、人件費が増加した」と、価格や人件費が上昇していることが上位に挙げられています。
一方で、「出産育児一時金が引き上げられることになり、妊産婦の自己負担への影響が少ないと考えたため」と回答した施設の割合は、引上げ決定後に増額改定を実施した施設の53.3%となりました。
他にも、価格改定に際し妊婦に対しどのようにいつ頃告知を行ったか、今後価格改定の予定はあるか等についての調査結果も報告されています。詳細は、以下の資料でご確認ください。
厚生労働省「第167回社会保障審議会医療保険部会資料」
参考:
厚生労働省「第167回社会保障審議会医療保険部会」
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